第6章 いきなり採用面接

 

 

入社2日目の午後。

 

私は新人採用の面接をすることになりました。

 

私自身が、まだネットビジネスのことも、会社のことも、何もわかっていない状態です。

 

 

わかっているのは、ネットビジネスは間違いなく儲かる、ということ。

 

ネットビジネスはバカでも出来る、ということ。

 

この2つだけです。

 

 

元ヤンの女社長は、入社2日目の私に、会社のカギ、お財布、クレジットカード、通帳を渡してきました。

 

全システムのパスワードと顧客名簿も全部渡してきました。

 

そして、入社2日目の私に採用面接を任せています。

 

何も考えていないし、無責任です。

 

一言でいうと、バカです。

 

 

 

そんなおバカさんでも5000万円稼いでいるのです。

 

5000万円というのは女社長のウソやハッタリではありません。

 

私自身が通帳記入して、この目で確かめた事実なので、疑いようがありません。

 

 

 

入社前から、「女社長が一人で稼いで儲かりすぎたので法人化した会社」とは聞いていました。

 

年収2000万円を超えると法人化したほうがトクです。

 

 

あれから、また、女社長の幼なじみである先輩スタッフのアユミさんがいろいろと話してくれました。

 

ヨシコ社長は、家や学校や社会から、つまはじきにされてきただけではありませんでした。

 

背が低くて、太っていて、出っ歯で、コンプレックスのカタマリだったそうです。

 

 

なるほど!

 

だから成功した今、必要以上に威張るのね。

 

愛情に飢えていて精神的に幼いから、ワガママを言って甘やかしてほしがる。

 

 

そして、容姿への強いコンプレックス!

 

実は、社長が5000万円を稼ぎ出したブログはダイエットブログでした。

 

デブだった女の子が、やせてキレイになった体験談を書いて人気ブロガーになったのです。

 

 

なんだか、ヨシコ社長のツボがわかってきました。

 

 

採用には30名以上が応募してきていました。

 

書類選考をして10名を面接することにしました。

 

すばらしい経歴の持ち主も何人もいて、ああ、時代も変わったな、と思いました。

 

 

私が設けた採用の基準はただひとつ。

 

「ワガママで非常識な女社長ヨシコさんとうまくやっていけそうか?」だけです。

 

 

学歴も資格も必要ありません。

 

ヨシコ社長ことをまるごと受け入れてくれる人なら合格です。

 

 

まずは、若くて体育会系の営業職経験者を1人採用することにしました。

 

すなおだし、理不尽な上下関係を飲み込んできています。

 

 

でも、そんな判断をした自分に嫌悪感を覚えました。

 

私は昔、自分が大嫌いだった上司たちと同じことをしています。

 

能力の高さではなく、扱いやすい人材を選んでいます。

 

今の私は、会社のお給料はガマン料も込み、と考えています。

 

 

 

私はヨシコ社長と二人で応募者をドンドンふるいにかけていきます。

 

 

製薬会社勤務の事務員さん → 几帳面すぎるので不合格

 

ヨガインストラクター → 若くてスタイルが良すぎるので不合格

 

やり手のワーキングマザー → ヨシコ社長が未婚なので不合格

 

ハーフ美女 → 美人すぎるのでゼッタイに不合格

 

 

理不尽としかいいようのない基準でドンドン振り分けていきます。

 

 

ヨシコ社長と私はなんの相談もしていないのに、合否の結果はピッタリ一致。

 

心の中の合言葉は、ヨシコ is NO.1 です。

 

ヨシコ社長を一番に立ててくれる人材、アユミさんタイプを探しているのです。

 

 

気に入らないとガンを飛ばし、失礼なことを言うヨシコ社長と緊張気味の応募者の両方に気をつかいながら、5人を面接しました。

 

 

最後の面接が終わったのは、夜8時でした。

 

ヨシコ社長に声を掛けられました。

 

「ねぇ、マリーさん、今から予定ある?」

 

7章 女社長の恋人? につづきます★

 

 

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