第15章 元CAの登場
土曜日の夜21時から採用面接。
その日、ヨシコ社長は朝からウキウキしていました。
面接に来るのが元CAだったからです。
「信じられる?スチュワーデスさんだって!」
ヨシコ社長にとって客室乗務員は雲の上の存在のようです。
先進国でキャビンアテンダントの地位が高いのは日本くらいなものです。
肉体労働で大変な仕事だし、アメリカでは太ったおばちゃんが多いので素敵なイメージはありません。
日本の航空会社出身なら、マナーやサービスも身についていると思います。
しかし、今日来る人はアジアの航空会社出身でした。
自分の都合で土曜日の夜の21時に面接を指定してくる人かぁ。。。というのが私の本音です。
もともと遅い約束の時間にやや遅れてやってきた元CAさんは、長身で細身の人でした。
ヨシコ社長は大喜びで、モミ手をせんばかりの態度で元CAさんに質問しました。
「わー、スタイルいい!なんでまた、ウチみたいなところへ来たいの・・・?」
「ハイ。ヨシコ社長のブログを読んで、人生を変えたいと思ったからです」
ヒモ彼氏にも見せないようなデレデレ顔で、身をよじってよろこぶヨシコ社長。
チビで元デブだったヨシコ社長は長身細身の元CAさんをほめちぎりました。
敷かれたレール人生の元CAさんも、田舎の元ヤンから成功したヨシコ社長をほめました。
人間は自分にはないものに憧れます。
話が進むうちに、元CAさんは今は外資系企業で秘書をしていて、かなりの高給をもらっていることがわかりました。
あちゃー、ムリだわ。
なぜならヨシコ社長のお給料よりも高い金額だからです。
外資系とはいえ、秘書のお給料ではない額でした。
みるみる意気消沈するヨシコ社長。
出っ歯を治す矯正器具をはめている口元をすぼめてションボリしています。
ちょっと可哀そう。
私も辞めるつもりだし、誰か雇わなくちゃね。
そう思い、私は助け舟を出すことにしました。
マリー「元CAさん、正直、今すぐに現在と同じお給料をお支払いすることは難しいと思います。
でも、今後、事業規模を拡大する予定なので、収益が上がればその分はダイレクトに還元します。
そういう意味では報酬は青天井です。」
元CA「はい。。。」
マリー「大企業では細分化されたタスクをこなしていくだけですが、当社はベンチャー企業なので、すべての業務に携わることが可能です。
経営を知ることは将来、大きく役立つはずです。どうですか?私たちと一緒に数億のビジネスを作っていきませんか?」
元CA「そうですよね!。。。今の会社ではやりがいがなくて。。。」
マリー「私も前職では年俸1200万円でしたが、この会社に入って正解だったと思っています」
ウソではありません。色々面白いモノが見られたし、いい経験になったのは事実です。
ただ、1200万円もらっていた会社を退社してから8年のブランクがあることは言わずにおきました。
元CA「ホントですか???。。。私も、是非、チャレンジしてみたいです!」
ほらね、採れました。
元CAさんは優等生タイプで、疲れてエリートコースから外れてみたくなったんだと思います。
今まではママのいうことになんでもYESと言ってきたタイプみたいだから、ヨシコ社長の言うことにもきっと逆らわないはずです。
私の採用基準はヨシコ社長とやっていけるかどうか?の一点のみです。
仕事に年齢や学歴は関係ありません。
仕事は習えば誰でも出来ます。
大事なのは人間関係です。
元CAさんが帰ったあと、ヨシコ社長はあまりの幸福感にボーッとなっていました。
「信じられる???スチュワーデスさんだよ???」
「よかったですね、ヨシコ社長」
私は戸締りをしながら笑顔で答えました。
よかったね、ヨシコちゃん。
ただひとつ心配なのは、アユミ先輩がちょっと私をほめただけでブチ切れるヨシコ社長が、ヨシコ社長よりすべて格上の元CAさんとやっていけるかどうか?です。
どちらが先に音(ね)をあげるでしょうか?
どれくらい持つでしょうか?
みものです。
土曜の夜11時。
明日は日曜ですが、朝から出勤を命じられました。
ヨシコ社長が、雑誌の取材を受けるからです。
一番先に音(ね)をあげるのは、ヨシコ社長でもなく、元CAさんでもなく、この私でしょう。
心身共に限界が近づいていました。
第15章 につづきます★
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