第16章 雑誌の取材

 

 

日曜の朝、私は重い足取りで会社に向かいました。

 

これで7日連続勤務。

 

土曜の夜10時まで採用面接をやって、日曜の朝9時に出社。

 

入社1週目でこんなに働かされるとは。。。

 

 

私は完全週休2日の企業でしか働いたことがありませんでした。

 

以前勤めていた会社で日曜に出勤したのは、社長のヨットで船上パーティをした時くらいです。

 

 

 

でも今の私は、ネットビジネスの秘密を探るために潜入入社しています。

 

だから、見られるものは何でも見ておきたい。

 

今日はヨシコ社長に雑誌の取材が来ることになっています。

 

それで、日曜の朝早くから、こうして出社するわけです。

 

 

 

せっかくマスコミにアピールするいい機会だというのに、バカなヨシコちゃんはいつものヤンキージャージでやってきました。

 

まったく困ったものです。

 

写真撮影だってあるのに、もうすこし他に着るものはなかったのでしょうか?

 

 

私は努めてやさしく言いました。

 

「衣装は用意しなくてよかったんですか?」

 

「うん!前に言ったでしょ?アタシはハイブランドしか着ないって!これは、ベルサーチなの!」

 

え?????

 

ドン・キホーテじゃないの???

 

ベルサーチって、イタリアの GIANNI VERSACE?

それとも 娘のDONATELLA VERSACE?

 

どっちにしても、あんまり趣味はよくないし、ドン・キホーテにしか見えない。

 

しまむらでも売ってなさそうな配色。

 

 

 

その時、ガヤガヤと声がして、撮影隊が到着しました。

 

編集者らしき女性が私に名刺を差し出してきました。

 

 

「こちらへどうぞ」

 

私は2階のセミナールームに、取材クルーをご案内しました。

 

 

2階では、安っぽい応接テーブルの前で、ヨシコ社長がうんこヤンキー座りをしていました。

 

編集者とカメラマン、そのアシスタントたちは、ヨシコ社長をチラリと見ると作り笑顔で、「よろしくお願いしまーす」と言ってくるりと背を向けました。

 

 

女性編集者は私の方に向き直り、段取りや撮影の場所決めなどしながら、記事の企画をペラペラと説明してきます。

 

丁寧に応対しますが、その間、ヨシコ社長は放置です。

 

 

 

すると、編集者の女性がヨシコ社長に声を掛けました。

 

「申し訳ないんですけど、そちらの社員の方、ちょっと移動して頂けますか?」

 

 

 

ピキーーーーーーーーーーーーーン!

 

 

 

その瞬間、空気が凍り付きました。

 

 

 

 

この人たち、何かカン違いしているみたい。。。

 

その人、社長です!

 

私は社員!

 

 

 

ジャージが社長で、スーツが社員。

 

うんこ座りでガン飛ばしてるのが社長で、立って応対しているのが社員。

 

 

 

なんで間違えられたの???

 

そうだわ!!!

 

私は入社したばかりなので名刺がありません。

 

ヨシコ社長はペーパーレスで名刺は持たない主義なんだそうです。

 

 

 

だから、編集者さんがくれた名刺を受け取っただけで、私たちは名刺を渡していません。

 

 

 

「あの、当社の社長です」

 

私はうやうやしく紹介しました。

 

 

ヨシコちゃんがうんこ座りなんかしてるから。。。

 

ヤンキー流の威嚇方法なのかしら?

 

 

 

 編集者の女性は悪びれもせずに言い放ちましたた。

 

「アハハ、そうなんですね。失礼しました!」

 

 

編集者も編集者です。

 

事前にホームページで取材対象の顔くらい確認してきてほしい。

 

そりゃ、ガン飛ばす人間よりは、欧米スマイルの方が話しかけやすいでしょうけど。。。

 

 

 

出だしがこんなだったので、ヨシコ社長は完全にご機嫌ナナメになってしまいました。

 

 

 

聞いたこともないような出版社の雑誌でしたが、ヨシコ社長にしたらマスコミに取り上げてもらえる晴れの舞台です。

 

不機嫌でろくすっぽ答えないヨシコ社長の代わりに私が質問に答えるしかありませんでした。

 

 

 

ナントカ、カントカ、取材と撮影が終わり、一行は帰っていきました。

 

マズイ。

 

これはフォローのしようがありません。

 

 

しかも、帰りがけに、KY(空気読めない)カメラマンが、余計な一言を発しました。

 

「えっ?マリーさんって社員の方なんですか?キレイな方ですね!」

 

あちゃーーーーーーーなんでそんなことを言うかな?

 

お世辞を言うなら、社長に言ってくださいよ!!

 

 

 

そこでうんこ座りしていらっしゃるチンケな社長様は、先輩スタッフのアユミさんがちょっと私を誉めただけで、「敵」だの、「結託」だの、って叫んで、プイと出ていくような人なんですよ?

 

あなたたちが帰ったあと、私はここでたった一人で、その器の小さい幼稚な社長様の相手をしなくてはならないんですよ??

 

火に油を注ぐようなことを言って、どうしてくれるのよ???

 

 

 

おそるおそるヨシコ社長の顔を見ると、怒りに満ちて真っ赤になっています。

 

あーーーーーーーーーーーーー

 

私はかける言葉を見つけられず、ただ黙りこくるしかありませんでした。

 

 

 

第17章  につづきます★

 

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